塔書館 第三地下資料室

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塔書館とは

塔書館(とうしょかん)とは深い森の奥にある、大きな木のような塔です。

魔力のあるモノにしか見えず、魔力のないモノは認識することも出来ません。

塔書館の利用には利用者登録が必要で、登録は一階の受付で行っています。

塔書館で取り扱っているもの

塔書館では、世界中の資料や本が集まっています。

その本の種類は多岐に渡り、辞典から教科書、薬の調合の本や料理のレシピまでさまざまです。

なかでも物語は膨大な量があり、子供でも楽しめる絵本やコミックなどはもちろん、特定の条件下で記録されるに至ったモノの人生が一冊の本となっている場合もあります。

この本の中には、塔書館のある世界ではない世界の事を描いているものもあり、それらは塔書館のない外の世界のことであるとされています。
両腕で抱えきれないほど物語があり、本の数だけ世界はあるのだと言われています。

塔書館にある本たちは、そのほとんどが紙で出来た鳥であり、世界中から本棚に収められるために塔書館にやってきます。

塔書館は紙の鳥たちの声にこたえ、さまざまなジャンルの本棚や部屋を自ら自動的に用意するので、スタッフでも知らない間に新しい本棚ができていたり、知らない部屋ができていたりもします。
紙の鳥たちは自分たちのいるべき本棚があると、そこまで飛んで行って本の形になり、本棚の好きな場所へ収まるのです。

司書スタッフたちはこの紙の鳥たちが本棚に収められた際にわかる特殊な魔法書を持っていて、新しい本の居場所へ行ってどんなものなのかを記録・管理しています。

これらの本は、通常の部屋で管理できるものは利用者に貸し出しもしています。
貸し出された本は、決められた期間内に戻れないことがわかると勝手に紙の鳥になって塔書館にかえってくるので、忙しくて返しにいけない利用者も安心して本を借りることが出来ます。

そんな紙の鳥たちですが、中には本棚に仕舞われることが難しい紙の鳥も存在し、そういった紙の鳥たちは逸鳥(はやどり)と呼ばれます。

逸鳥

逸鳥(はやどり)とは、塔書館へきたものの納められる本棚が無い紙の鳥たちのことを指します。

そういった逸鳥たちは塔書館の屋上にある大きな樹に住み着きます。
なのでこの大きな樹のことを『逸鳥の樹(はやどりのき)』と呼ぶようになりました。

逸鳥の樹に住み着いた逸鳥たちは、時々塔書館の周りの森を飛び回ることもありますが、大体が必ず樹に戻ってきます。
中にはどこかへ行ったまま帰ってこない逸鳥もいますが、そういった逸鳥は大体が『誰かの記憶』のことが多いようです。

そうしていなくなった逸鳥のことは、特に追ったりはしません。
なぜなら逸鳥たちを傷つけたり閉じ込めたりすることはとても難しく、いないということは逸鳥自身が選び取った居場所があるのだろうという塔書館の管理人の言葉があるからです。

それ以外の、逸鳥の樹に住み着いている逸鳥たちも、いつか本棚に収められるかもしれませんし、そうでないかもしれません。

ただ逸鳥たちがいる間は、逸鳥たちを管理するスタッフが見守っているのです。

スタッフ

塔書館のスタッフは、管理人である森梟(もりふくろう…通称『森爺(もりじい)』と呼ばれています)によって選ばれた者たちで構成されています。

受付、司書、屋上の施設の店員や管理人など、二十にも届くか届かないかくらいの人数で塔書館は運営されているのです。