塔書館 第三地下資料室

Story -ヒナの日記帳

大雨の日

こんばんは、ヒナです。今日はとても珍しい日でした。
なにが珍しかったかというと、きれいな空で晴れていたのに、一瞬のうちに大雨になったのです。

わたしはいつものように受付にいて、貸し出されていた本の鳥が帰って来たので、その子たちのお世話をしていたんです。 そういうのは司書さんのお仕事でしたが、わたしもたまにさせてもらっているんです…紙の鳥たちはとてもかわいいので。
それで、どの子が返って来たというのを貸し出しノートに書き込みながらふと解放されている玄関のほうを見て、 きらきらした陽の光がお花にあたっていてきれいだなって思って、 また貸し出しノートに書き込もうと視線を外した途端に外からすごい水の音が聞こえました。

びっくりして外を見ると、それはもう…なんというか、大粒の雨がぼたぼたと滝のように降っていました。 さっきまでは気持ちのいい晴天だったのに…とぼんやり見ていたら、ずぶ濡れになった楓くんが飛び込んできてまたびっくりです。
あわてて楓くんを受付脇の暖炉に連れて行ってタオルを貸して…それから外回りに出ていたスタッフさんが慌てて帰ってきたり、 帰ろうとしていた利用者さんが帰れなかったりもして。
そんなこんなで受付は結構いっぱいになってしまったりして…とにかくにぎやかになりました。
楓くんは人混みが苦手みたいでしたから、受付奥の小部屋で休ませてあげました。そういえば風邪をひいてないと良いんですけど…。

結局思うよりもすぐに雨は止んで、あっという間にいつもどおりの受付に戻りました。
こんなふうに受付にいっぱいひとがいることはほんとうに珍しくて。 …ちょっとだけ楽しかったなあ、なんて言ったら、怒られてしまうかもしれないですね。

それじゃあ今日はこのへんにします。
明日もまたいい一日になりますように。

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